体内で不足をしてしまっているインスリンを注射を使って補う治療法
インスリン療法というのは、糖尿病が発病してしまっている患者さんの体内で不足をしてしまっているインスリンを注射を使って補う治療法のことを言います。
身体の中のすい臓から排出されるインスリン分泌には、一日中ほぼ一定量が分泌されることとなる基礎分泌と食事などといった血糖値の上昇に応じて分泌される追加分泌に分けることが出来ます。
1型糖尿病におきましては基礎分泌と追加分泌がともに障害されてしまっています。そして2型糖尿病におきましては主に追加分泌が障害となっており、さらにそれが進行してしまうことによって基礎分泌も障害されるケースが考えられます。
インスリン療法におきましては基礎分泌と追加分泌から構成される健康な人のインスリン分泌パターンをある意味で人工的に再現することを理想として考えられており、そのことから適切なタイミングで、また適切な量のインスリンを注射する必要があるのです。
そもそもインスリンというのは、すい臓のランゲルハンス島のβ細胞で作られているホルモンなのです。糖分を含んでいる食べ物は消化酵素などでブドウ糖に分解されることによって、小腸から血液中に吸収されていきます。食事によりましては血液中のブドウ糖が増加しますと、すい臓からインスリンが分泌されていき、そのインスリンの働きによってブドウ糖は筋肉などへ送り込まれていき、エネルギーとして利用されることとなります。
このようにインスリンという成分には、血糖値を調整することの出来る働きを持っています。しかし糖尿病の患者さんの場合におきましては、すい臓からのインスリン分泌量の低下が現れてきてしまい、そのようなケースにおきましてはインスリン注射薬を使用し、インスリンを外部から注射によって補ってあげる必要があるのです。
この膵臓のインスリン分泌がほとんど無くなってしまう1型糖尿病におきましては、インスリン療法が治療の基本となるものとなっており、生きるためにも欠かすことが出来ません。
その一方で、2型糖尿病におきましては、膵臓のインスリン分泌はいくらかは存在していることから、インスリン療法をすることなく、すぐに生命に関わってくるというものではありません。
しかし、食事や運動療法、そして飲み薬による治療だけで血糖値を管理することの出来ない場合、さらに血糖値が特に高くなっている場合におきましては、インスリン療法を行う必要があります。
2型糖尿病でも、インスリン療法が必要となってくることは決して珍しいことではありません。
国内でインスリン療法を実際に行なっている約70万人の患者さんのほとんどは2型糖尿病となります。